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自己紹介&コラム

2006年10月

景気回復の風と今日の風
(2006年10月22日 福井新聞掲載)

はじめに

いつもの地下鉄を降りると、そこは昭和39年だった・・・映画「地下鉄(メトロ)に乗って」のキャッチコピーですが、「三丁目の夕日」「フラガール」「カーテンコール」など、このところの映画界は昭和ブーム。それも昭和30年代から昭和40年代、貧しくてもなぜか輝いていたと言う印象が強い時代背景が多いようです。ちょうど戦後最長といわれた「いざなぎ景気」もこのころです。

いざなぎって神様と比べても

現在の景気が「いざなぎに並ぶ」(10月13日付)と言う発表は勇ましくていいのですが、比較相手は天照大神の父神でもある「いざなぎ」です。日本列島を創った神様と並ぶには、少々おこがましい感じがします。 そう感じるのは「過去に比べて低成長だから実感がない」(安倍首相)と言うことでしょうか?「いざなぎ景気」が消費主導なのに、今は輸出主導だからでしょうか?

確かに実質成長率を比べても、11.5%に対して、今は2.4%。個人消費に関しても年9.6%増(しかも消費者物価が27.4%上昇している!)に対して、今は、年1.7%しか増えていません(消費者物価0.4%減なのに!)。さらに小規模事業所の景況感は「悪い」「やや悪い」が51%(10月14日付)となっています。

今の景気といわれる数字は、人件費を抑制した上に成り立っている企業収益から来るため、個人の実感に結びつかないのでしょう。 景気がいいと言う話の一方で、05年度の1カ月平均の生活保護世帯数が過去最多となり、格差社会の問題を取り上げる人もいるでしょう。 しかし、本質が違う社会を、数字を使って比較すること自体に、無理があるのかもしれません。

あんな時代もあったね

みんなが同じ夢を持ち、明日はきっとよくなると信じていた時代には「景気」と言葉が似合っていました。しかし、共通の物差しがなくなった今は、「景気」と言う言葉自体が死語となってしまったのではないでしょうか。個人個人が自分の物差しを持ち、自分の価値観を持って、身の丈にあった自分の景気をよくする時代ではないかと思うのです。

「いざなぎ景気」は、「あんな時代もあったねときっと笑って話せるわ」(中島みゆき)です。もはや過去には戻ることはなく、これからの時代をどう生きるかが重要な時代になり、だからこそ「今日の風に吹かれましょう」でしょう。「今日の風」を肌で感じる感性が重要な時代になっています。

今日の風はいつも吹いている

各金融機関のビジネスマッチングや、経営革新や創業支援など、元気な企業を応援するチャンスも多くなった時代です。「今日は倒れた旅人たちも生まれ変わって歩きだす」と言うように、チャンスや再チャレンジも「今日の風」の強さを肌で感じてこそ成り立つことでしょう。 「景気回復の風」は吹かなくても「今日の風」は吹いています。追い風にするか向かい風にするかは個々の立つ方向に依存する時代です。

・・と言いながら、最近の歌が分からず、中島みゆきの歌を例にあげる私に「今の風」を肌で感じられるでしょうか?少々不安ですが信じた位置に立ちたいものです。