
2007年4月
福井新聞のホームページに新しく表示されるようになった福井のニュースランキングには、ここ何日間か「宝塚スターへ19倍難関突破」と言う坂井町の女性の話題が上位に入っています。また、統一地方選挙の後には、県会議員の結果を報じるニュースも上位となっていて、ともに新規スタートを意識するような記事がそろいました(4月10日現在)。4月は人生の門出の季節でもあり、それぞれに新しい生活が始まる方も多く、紙面でも入学式や入社式の様子を伝えることの多い時期です。
「来春も5割が採用増」(4月4日付)と報じられているように、企業の採用では売り手市場の状況が続いているようですが、今春の新入社員に対して、社会経済生産本部が行った調査によると、「今の会社に一生勤めたい」と言う人が過去10年で最高のほぼ3割になったそうです。逆に「チャンスがあれば転職してもいい」と言う人が6年ぶりに5割を割り込みました。就職状況は景気回復から改善したものの、「生き残りをかけた厳しい企業間競争が背景にあり」(4月3日付論説)、実際の職場では、より厳しい状況が続いていることから終身雇用への回帰願望が出て来ているようです。
しかし、新入社員の「一生勤めたい」と言う希望は、なかなか叶わない可能性も高いと言えます。と言うのも、長寿社会の到来で定年延長など、勤続年数は伸びる一方でも、企業そのものの平均寿命は人の寿命よりもはるかに短いからです。世界一の長寿を誇る日本でも、企業の平均寿命は35年といわれています。人の平均寿命はもとより、勤続年数よりも短いわけです。世界的に見ても、米国の代表的なフォーチュン500社の多国籍企業の平均寿命は約40年ということです。
一方、環境の変化の激しい時代を反映して、3月の福井県内の倒産は19件と最悪(4月5日付)となりました。また、昨年には、日本最古の企業として有名な金剛組が資金繰りに窮し高松建設の子会社になり、創業家の社長は40代でついえてしまいました。
先進国において、平均企業寿命の長い国は、スイス、スペイン、英国で、イタリアやポルトガルにも長寿企業が多いとのことです。欧州が上位を占めるというなかなか興味深い結果になっています(最も米国の230年ほどですから、必然的に欧州が上位になっても不思議ではありませんが)。
もちろん、企業自体が存続しても、さまざまな要因で「一生勤める」と言うのは叶わないことも多いのは事実です。しかし、健康な体内で新しい血が生成されるように、何よりも新入社員による新しい血が、企業内を巡ることで、企業自体が健康で長生きできることも事実でしょう。そのためにも、この変化の速い時代において、環境の変化に対して敏感であり慎重かつ大胆に行動することができる血であることを望みたいものです。
と、ここまで書いてみて、新入社員に限らず、新しく議員になられた方にも通じることではないかと思いました。金沢でも東京でもない独自の価値観を持つ福井を実現できるような、今後の県政にも期待したいものです。